デフレ対策は 2012 6 24

 欧州から聞こえてくるのは、
恒例となった「金融危機」と「その対症療法」ばかりです。
 何か忘れていませんか。
日本のバブル崩壊後、起きたことは、長期にわたるデフレです。
 そういうわけで、欧州は、金融危機対策だけでなく、
デフレ対策も、しっかり行うべきです。
 2012年6月3日の日本経済新聞Web刊には、このような記事があります。
「バブル崩壊がもたらす日本の教訓が、もう一つある。
財政の大幅な悪化だ。
 民間の企業や家計は、バブル期に膨らませた債務を圧縮する。
その過程で政府が債務を肩代わりしないと、経済全体が失速してしまうからだ。
 欧州の重債務国の財政は、国内貯蓄が乏しい分、バブル崩壊後の日本より厳しい。
財政に余力のあるドイツが動かないと、ユーロ圏全体が需要不足に陥る」
 しかし、ユーロ圏には、デフレ対策ができないでしょう。
三橋貴明氏のメールマガジンには、こうあります。
 スペインの現状は、
「財政政策と金融政策を切り離す」というユーロの根本思想が、
デフレ期には、全く手も足も出ないという現実を見せつけているわけです。
 共通通貨ユーロは、結局のところ
「インフレ対策」に過ぎなかったのです。
(以上、引用)
 結局、ユーロは、インフレ対策のために作られた通貨か。
欧州が、デフレになったら、どうするのか。

ケインズの受難 2009 9 27

書名 世界同時バランスシート不況
著者 リチャード・クー 村山昇作  徳間書店

 この本は、バブル経済崩壊後の日本について書いてあります。
(以下、引用)
資産価格が87%下がってもGDPを落とさなかった日本の経済政策は正しかった。
(中略)
しかし、日本のすごいのは、バブルが崩壊してからである。
1990年を境に商業用不動産価格は大暴落する。
一挙に価格が87%も下がってしまった。
ところが、日本のGDPは落ちていないのである。
落ちないどころか、過去18年間、一度もバブル期のピークを下回ったことがない。
(中略)
日本は、そこまで資産価格が下がったにもかかわらず、
GDPは落ちなかったし、失業率は6%に達することなく反転した。
「これでも日本の経済政策は間違っていたと思うのか」と言うと、
彼らは(欧米人は)、初めて「あっ」となるのである。
(以上、引用)
 バブル経済崩壊後の日本の経済政策については、
誤解されている点が多いと思います。
現在、バブルが崩壊したアメリカにとって、参考になると思います。
 さて、もうひとつ引用します。
(以下、引用)
これまでの経済学には、残念ながらバランスシート不況という考え方は、
全く存在しなかった。
ケインズも処方箋としては正しいことを言ったが、
なぜ財政出動なのかという説明は全くの的はずれだった。
財政出動というのは、バランスシート不況の時だけ効果を持つものであって、
それ以外の時は、むしろ逆効果になってしまうのである。
ケインズは、そのことに気付かなかったために、
ケインズが神様扱いになった戦後20年は、
多くの国々でバランスシート不況でない時も、
財政が乱用されてしまった。
しかし、バランスシート不況以外での財政出動は、
高金利やインフレ、そして資源配分の歪み等の逆効果をもたらし、
その結果、財政出動自体が全面否定されるようなことになってしまったのである。
1970年代に「ケインズは死んだ」などと言われたのは、
まさにそこからきている。
(以上、引用)
 つまり、この数十年は、「ケインズの受難」だったかもしれません。
しかし、師匠の学説を弟子が完成させるということも、歴史上あったと思います。
今、やっとケインズ理論は完成したと言えるでしょう。
「ケインズは死んだ」ではなく、「ケインズは始まった」でしょう。
 参考までに、バランスシート不況とは、著者によれば、
「借金でファイナンスされたバブルが崩壊し、
借金に見合う資産がなくなった民間が、
一斉に利益の最大化から債務の最小化にシフトすることで起きる不況である。
(中略)
 この不況では、バブルに乗って借金までして投資に走った人々が、
バブルの崩壊によって資産価格が暴落すると、
負債だけが残り、債務超過という状況になる。
資産より負債がはるかに大きくなるからだ。
そのような状況に置かれた企業や個人は、どのような行動を取るかというと、
当然のことながら、毀損したバランスシートを修復するため、
必死に債務を減らすようになる」と定義している。


















































































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